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借地の諸問題について

 みなさん、こんにちは。
株式会社リライト 代表の田中です。

 今日は、借地の諸問題について。
 私が研修委員の理事として参加している神奈川県宅建協会
横浜東部支部の夏季研修セミナーが昨日ありました。
 講師は弁護士の先生。
 内容は、最近ご相談が多く、今後さらにご相談が
増加するであろう「借地の問題」。
 学んだことは多々ありますが、ポイントだけ。

★借地権とは「建物の所有を目的とする『地上権』又は『土地の賃借権』」を
 言います。
★ほとんどの借地権は「土地の賃借権」。
★借地の条件変更(非訟事件にて)を行う場合
 1.非堅固から堅固建物所有目的の条件変更の場合
   条件変更料は「更地価格」の10%前後(目安)
 2.上記以外の借地条件の変更の場合 
   増改築承諾量の基準である更地価格の3%と上記更地価格の
   10%を前提とし、ケースごとに判断
 3.借地の条件変更には付随処分(裁判所)があります
   裁判から30年という新たな期間、地代を適正額に改定
★単なる修繕も増改築に該当するか?
 修繕の場合、原則として地主の承諾は不要です。
 ただし、増改築に匹敵するような大規模修繕の場合、裁判所はその
 修繕の程度に応じて更地価格の1~3%の範囲で承諾料の支払いを
 命じることが多いようです。
★借地権の譲渡・転貸
 ・地主は、第三者への譲渡・転貸について「NO」と言える
 ・譲渡・転貸について、地主と借地人の協議が整わない場合は、
  借地非訟事件の申し立てができる
  <借地非訟事件の場合>
 ・譲渡承諾料の相場=(更地価格ではなく)借地権価格の10%前後
 ・付随処分として、地代を適正額に改定することが多々あります。
  また、借地期間の延長は行われません。
 ・地主の介入権がある
  ※地主は「第三者に売るなら、自分が買い取る」と言える
  ※第三者と地主の購入条件が同一の場合は、地主の買取りが優先される
★借地の更新料
 更新料の授受について定めた法律はなく、最高裁判所は法定更新の際の
 更新料の借地人の支払義務を明確に否定している。更新料の授受が認められる
 場合は、「地主と借地人との間において明確な更新料授受についての合意が
 ある場合」ということになります。
 ※明確な更新料とはどういう要件でいくらと記載されていないと
  裁判をしても負けてしまうことが多いということです
★借地契約の主な終了原因
 1.借地権の存続期間が満了して更新がない場合
 2.地主と借地人との間で借地契約を合意解約する場合
 3.賃貸借契約が解除された場合
 4.旧借地権についての朽廃
★地代不払いと借地契約の解除
 ・地主と借地人との信頼関係の破壊を理由として契約解除
  判例では約17か月の賃料不払いの事実があっても、信頼関係の破壊を認めず、
  賃貸借契約の解約を認めなかったものがあります
  (借家の場合は賃料不払い3か月が目安)

…などなど、本当にたくさんのことが学べました。
 新規に頭の引出しにいれたもの、過去の知識をブラッシュアップしたものなど
学ぶことは多いですね。

 こういったところで得た知識、不動産でお困りのお客様を
少しでも助けられるよう最大限に活用していきます!

それにしても、夏季研修セミナーの司会は緊張しました~。(笑)