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仲介事例子供に迷惑をかけないためにも空き家と農地を手離したい!(山梨県甲府市)

ご相談者:K.M 様
神奈川県愛甲郡愛川町

  平成元年に山梨県甲府市にある実家を相続しました。
実家は甲府駅から少し離れたところにあり、宅地部分、農地部分、山林部分の合計で7,853㎡あります。
建物は明治36年頃に建築されたもので兄が5~6年前まで住んでおり、それ以降空き家となっています。
そのため、今は年に1度草刈りと換気のために現地に行っています。
私も75歳になり、実家の空き家を子供に残してしまうと子供の負担になってしまうのでそれだけは避けたい。
地元不動産会社3社に相談しましたが、どこの不動産会社からも相手にしてもらえませんでした…。
この実家の空き家をタダでもいいから手放したい、どうかそのお手伝いをしていただけないでしょうか。

状況

子供に迷惑をかけないためにも空き家と農地を手離したい!(山梨県甲府市) 状況
【所在】山梨県甲府市下積翠寺町
・駅からバス便エリアに立地(バスの本数も少ない)
・建物は明治36年頃建築の古民家で土間や蔵もある
・5~6年空き家の状態で過去に動物が棲みついてしまった
・境界標が一部不明
・市街化調整区域内の農用地もある
 ※農用地:農地以外の用途に使うことができない農地
・土地面積の合計が7,853㎡とかなり広い
 ※農地の一部道路のない囲繞地となっている
・農地部分は耕作放棄地と雑木林となっている
・建築基準法で定める道路に接道していないため、
 建物の建替え・増改築が容易でない

解決策

1. お客様からのお問い合わせ、面談

 昨年9月にお電話でお客様より「山梨県にある実家を相続したのですが、手放したくてもどこの不動産会社も対応していただけず、困っています。リライトさんのほうで何とかご対応いただけないでしょうか」旨のご連絡をいただきました。
 そのため、お客様に一度ご来店いただき、面談を実施。
面談時にお客様からお聞きしたのは売却希望物件が古民家でもう5~6年くらい空き家となっていることや過去に動物が棲みついたことがあったこと、土間や蔵があること、相談地の面積の合計が7,853㎡にも及ぶこと等でした。
そして、75歳になられたお客様は「年齢的にもこれ以上の管理はできません。私に万が一のことがあったら、子供に負担をかけてしまうことになる。どうしてもそれだけは避けたい。タダでもいいから手放したい。どうにかリライトさんでお手伝いいただけないでしょうか。お願いします」旨のお話もされていました。
すでにお客様は不動産を手放すためにお金をかけて16筆もある土地と建物の相続登記もされている状況でした。
そのため、お客様のご意向を叶えるかたちで当社でお手伝いさせていただくこと、買主様を必ずお探しすることをお約束し、お客様にご持参いただいた資料一式をいただきました。

2. いざ、現地へ

 面談時は他業務が立て込んでいたため、そちらを優先し、昨年11月に何とか時間をつけて山梨県甲府市の現地調査に向かいました。
土地は16筆で4ヵ所、合計面積7,835㎡でした。
まずは市役所等での調査を開始。
 そこで早速、大きく3つの問題を把握。

1.売却物件全てが市街化調整区域内にあり、その中に農地も複数あり、売買には農業委員会の許可が必要なこと
2.建築基準法で定める接道していないため、建物の建替え・増改築ができないこと
3.土地の一部が土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていること

 上記の他に河川法や砂防法等の規制を受ける土地、山間の農地については雑木林となっている囲繞地となっていること等も判明。
うむ、なかなかの不動産…。
それでも何とかせねば、と心に誓う。

3. 現地で古民家を見て感じたこと

 1日かけて役所調査を終えて、翌日はいざ、売却物件の現地へ。
 現地には土間や囲炉裏のある明治36年頃建築の古民家、その脇には蔵がありました。
昔はこの古民家で養蚕業をされていたそうです。
建物自体は古く、老朽化して床が抜けそうなところもありましたが、このまま朽ち果ててしまうには惜しい古民家でした。
ただ、現状で床の腐食や雨漏り、害獣被害等があるため、実際に住むためには多額のリフォーム費用がかかってしまうことは明確でした。
それでも2階からは甲府市街を見渡すことができ、庭先ではバーベキュー等もできる環境、思ったことは「やはり、当社で何とかせねば」と。
ただ、面積が広いだけに境界の数も多く、建物の間取りや状況調査をし、境界を確認するだけで日が暮れてしまいました…。

4. 継続調査と農地売却のための対策

 役所調査をした際に売却物件合計16筆のうち14筆が農地でした。
その農地部分は建物が建っている部分、耕作放棄地になっている部分と雑木林になっている部分がありました。
売却物件がある地域が市街化調整区域のため、農地の売買には予め農業委員会の許可を取得しなければなりません。
この許可がとにかく大変。
そのため、事前に農業委員会と農地売却のための対策を協議。
その結果、農地14筆のうち5筆を宅地に、場所もわからない雑木林となっている3筆を山林に変更することで合意、非農地証明書取得に動きました。
その地目変更に向けて、農業委員会の指導のもと、売主様に宅地に変更する部分の庭木の手入れや除草等をしていただきました。
そして、農地を宅地や山林に地目変更登記が完了。(それでも農地以外には使えない農用地は6筆があるため、その点では売りづらい不動産ではありました)
さらに農地を宅地化することで未接道だった土地を接道させることにつながり、土地の価値UPに成功。(建築基準法第43条の許可を取得することで建物の建築が出来ようになりました)

5. 1円不動産の現地内覧会を開催

 農業委員会との打ち合わせも進んだところで売却活動の準備を開始。
その中で必ず貰い手を探すと心に決めていた私は、過去にお世話になったことのあるメディア関係の方に幅広く買主を探すためにメディアでの掲載の協力のお願いをしました。
その結果、「田舎暮らしの本」からの取材依頼のお話をいただくことができ、後日、現地での取材対応。
売却物件をとっても素敵な内容で記事にまとめていただき、雑誌やインターネットに掲載していただけました。
そのタイミングで当社でもインターネットを活用し、買主募集を開始しました。
「買いたい」というお声はいただいたものの、広大な面積が管理できないことから「古民家だけにしてもらえないか」、「農家ではないから農地が買えない」等というお声を多数いただきました。
そして、社内で売却活動について協議をし、現地内覧会を開催することに。
内覧会では、売主様と当社営業の廣澤(ひろさわ)がお客様をご対応させていただきました。
その結果、10組以上のお客様がご来場され、そのうち6組のお客様より購入申込書をいただくことができました。

6. 購入申込書取得からの次の一手

 現地内覧会開催後、複数のお客様より購入申込書をいただくことができました。
ただ、それだけでは安心できません。
というのも、今回の売却物件には市街化調整区域の農用地(農地以外に使用出来ない農地)が含まれていたため、売買には農業委員会の許可が必要でした。
農業委員会の許可を取得するためには基本的には農家または農業法人でなければなりません、それがかなりハードルが高い…。

 そのため、売主様は購入申込書をいただけた購入希望者の中から農地法の許可が取得できそうな方で土地、建物を大切に使っていただけそうな方を買主様候補として選ばれました。(令和5年12月下旬)
それ以降、売主様、買主様で協力して農業委員会に農地法の許可を取得するべく、動いていきました。

7. やっとのことで農地法3条許可を取得

 令和6年1月より買主様が甲府市農業委員会の窓口に複数回訪れ、売買のための農地法第3条許可取得のための打ち合わせをされました。
そして、2月上旬に売主様と買主様連名で農地法の3条許可申請をされ、3月下旬に無事に買主様を譲受人とする農地法の3条許可の取得に成功しました。

8. 契約前の現地確認から司法書士事務所での契約

 農地法許可取得後、当社にて売買契約書、重要事項説明書の作成にとりかかりました。
書類ができたところで、売主様、買主様に予め資料をご送付し、事前に内容をご確認いただきました。

 そして、令和6年4月26日がご契約&お引渡しの日となりました。
売主様、買主様、当社の廣澤が甲府市下積翠寺町の現地に集合し、まずは売主様より買主様ご家族に改めて不動産のご説明。
売主様は売却不動産の良いこと、そうでないことも包み隠さずご説明くださいました。
ひと通り現地での打ち合わせが終わると甲府駅前にある買主様の指定された司法書士の先生の事務所に向かうかと思いきや、買主様が予約されていたお寿司屋さんに買主様ご家族と売主様、廣澤で伺い、会食。

 食事の後は全員で甲府駅前にある司法書士の先生の事務所に向かい、そこで売買物件の重要事項の説明、売買契約書のご説明、各種書類の署名・押印、売買代金の授受等を行いました。
当初ご相談いただいた令和5年9月から最終手続き(お引渡し)が令和6年4月、約7ヶ月で農地含む16筆、面積7,853㎡の土地・古民家を売却することに成功しました!

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは「管理が出来ない不動産の手放し方」でした。

 今回の不動産も市街化調整区域の農地だったり、未接道だったり、囲繞地だったりと大変なものでした。
もし、売主様が今回処分が出来ていなかったら、草刈り代や固定資産税等できっとお子様は大変な思いをされていたに違いありません。

 そういった意味でも売主様がお身体が動くこのタイミングで不動産処分に動かれたのは、内覧会で直接お客様と接したり、売却不動産について事細かにご説明することができ、良かったことだと思います。

 今回、当社がお手伝いさせていただいたことで売主様は買主様と巡り合うことができました。
当社としてはお客様からいただける報酬はありませんでしたが、当初のお客様との「必ず買主様をお探しする」というお約束はきっちり守ることができました。
今回のような案件で思うことは、当社も同様の案件を複数ご対応しているため、全てのご相談にご対応することができません。
当社と同じ志を持った不動産会社がもっと増えていくことを切に願っています。

関係者のみなさま、本当にありがとうございました!

こちらの案件については、当社の営業の廣澤がかなりの時間と労力をかけてお引渡しというゴールまで導きました。

廣澤さん、今回のお取引き、遠方の案件にもかかわらず、最初から最後までお疲れ様でした!

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