買取り事例持分がなく、建替えができない老朽化した戸建を手放したい!(横浜市鶴見区)
ご相談者: | F.A 様(大手不動産会社の仲介) 横浜市神奈川区 |
父が他界し、横浜市鶴見区にある不動産を相続しました。
その不動産について不動産会社の方に相談したところ、「建物が隣の家とくっついており、かつ、接道に問題があり建替えができない」と言われてしまいました。
持っているだけでランニングコストがかかってしまうこの不動産を何とか手放したいです。
煩わしいことはしたくないのでプロである不動産会社に買い取ってもらいたいと思います。
ただ、建替えができない不動産を買い取っていただける会社がほとんどなく、大手不動産会社から御社のことをお聞きしました。
無理を承知でどうかこの不動産を買い取っていただけないでしょうか?
状況
・駅からバス便エリアに立地
・建物は築40年を経過し、老朽化している
・建物が隣の家とくっついている連棟式建物
・接道に問題があり、建物の建替え・増改築が
できない
・境界標が不明
・路地部分の所有権がない
※通行・掘削の際に承諾が必要
・庭木の手入れがされておらず、南側隣地に越境
・土地面積144.12㎡、建物面積101.02㎡
解決策
1. ご紹介者との打ち合わせ
今回の売主様は大手不動産会社の方からのご紹介の案件でした。
当初は、ご紹介者である大手不動産会社の方経由でやりとりをさせていただきました。
ご所有者の方からは、「相続で取得した横浜市鶴見区にあるボロボロの空き家を手放したい。建物が隣とくっついており、かつ、道路に問題があるため、建替えができない不動産のため、手放せるか心配です。問題がたくさんある不動産ですがリライトさんの方で買い取ってもらえないでしょうか」というお話をいただきました。
そして、ご紹介者経由で売却物件の資料をいただいたのです。
2. 現地確認の実施
現地の資料を受け取り、後日、現地確認を行いました。
現地は、「鶴見」駅からバス便エリアの平坦地にあり、車が通れる公道から路地の奥に入ったところにありました。
カースペースは1台分あるものの、長期間適切な管理がされておらず、庭木が生い茂っており、その枝葉がお隣に越境し、迷惑をかけていました。
築40年超の建物内は、各設備は老朽化しているものの雨漏りや床の腐食はありませんでした。
ただ、大部分の境界標は見つかりませんでした。
3. 法令上の制限に関する調査
現地調査を終え、物件調査に取り掛かりました。
その結果、以下の内容が判明しました。
■路地部分が建築基準法上の道路ではなく、接道義務を満たしていませんでした
※建物の建替え・増改築不可
■新築当時は、隣の建物と一体で連棟式建物として建築
■路地部分が第三者所有地となっており、持分がない
※私道所有者の2名のうち1名が行方不明
上記以外については、法令上の制限の調査において懸案事項となることはありませんでした。
4. 購入に向けての検討
現地及び市役所等での調査を終え、売主様のご意向(当社に買い取ってほしい)に沿えるよう購入に向けて検討を重ねました。
その際に快適に住めるようにするためのリフォーム工事の見積もりを取得、その金額は500万円超となりました。
そして、周辺の不動産市況も考慮し、収支計算をし、当社として購入できる金額をご提示させていただいたのです。
5. 購入の契約・鍵等の受領
後日、売主様より当社のご提示金額にてお譲りいただける旨、ご連絡をいただけました。
そして、契約関係の準備をし、数日後にご紹介者である大手不動産会社の営業所で当社が買主となる売買契約の締結、売買代金のお支払いをし、鍵・所有権のお引渡しを受けました。
この時点でお客様(売主様)のボロボロの空き家を手放したい(売却したい)というお悩みを解決することができたのです。
6. 売却までの準備 - 路地の通行
当社取得後、まず行ったことは、第三者所有の路地部分所有者との協議でした。
路地部分所有者は2名でしたがそのうち1名は行方知れずで、もう1名は地元にある老舗の不動産会社でした。
そのため、すぐに地元不動産会社と路地の通行・掘削についての承諾のお願いに伺いました。
当初は「自分には関係ない」などを理由として、相手にしてもらえませんでした。
それでも諦めず、再三、再四お願いを続けた結果、1年がかりで「当社が路地を通行・掘削することは認める」という承諾書の取得に成功。
※やはり何事も「諦めない」ことが大切なんですね
ただ、当社が第三者に売却をした場合、当該第三者への同様の内容の承諾については、地元不動産会社のほうでその時に判断されるということになりました。
7. 売却までの準備 - 害獣駆除・境界標の設置・樹木の伐採・建物診断
路地についての通行・掘削の承諾書の取得ができた時点でお隣さんより「おたくの建物に何か動物が棲みついている。うちの方にも小屋裏を通じてきているので何とかしてほしい」旨のご連絡をいただいたため、害獣駆除業者に依頼し、すぐに対処しました。
※ハクビシンのようでした
そして、その次に土地の境界標が見当たらなかったため、土地家屋調査士の先生に依頼し、境界標を全て設置していただきました。
併せて、手入れがされていない樹木が近隣の方にご迷惑をおかけしていたため、大きな樹木を伐採。
さらに売却は、リフォーム工事を行わず、現状のままで売却する予定だったため、建物診断(インスペクション)を行いました。
建物診断では、築40年が経過し、老朽化していることもあり、一部の床が傾斜していたり、所々に不具合が生じていていることが判明しました。
8. 売却活動の開始・害獣駆除
売却の準備が整ったところで売却活動を開始しました。
今回の建替えができない戸建(再建築不可物件)は、都市銀行・地方銀行から住宅ローンを借りることができないため、売却期間が長期にわたるケースが多々あります。
それでも他の建替えができる戸建と比較し、リーズナブルな価格設定とし販売した結果、販売開始後9ヶ月の時点でとっても素敵な買主様をお探しすることに成功しました。
ただ、そのタイミングで再度お隣の方より「またお宅の家に動物が棲みついているから何とかしてほしい」旨のご連絡をいただき、すぐに対処しました。
※またハクビシンのようでした
9. 売買契約の締結・私道承諾書の取得
買主様をお探しできた段階で契約書の作成に取り掛かりました。
その契約書には建物診断の結果を詳細に記載しました。
事前に買主様にもご確認いただき、後日、当社において売買契約を締結しました。
買主様との売買契約締結後、再度路地を所有している地元不動産会社に「買主様にも路地の通行・掘削に関する承諾をして欲しい」旨お願いに伺いました。
※無事に地元不動産会社より買主様への路地の通行・掘削の承諾書を取得することができました
そして、後日、無事に残代金・お引渡しのお手続きを完了することができたのです。
担当者からの一言
今回の案件のポイントは「売却に向けての準備」でした。
今回の売却物件(当社が購入し、売却した物件)は、バス便エリアにある接道義務を満たしていない連棟式建物で建替え・増改築ができない再建築不可物件でした。
それを当社が購入(買取り)し、売却したのですが、それまでの道のりは長く険しかったです。
特に路地部分については持分を持っていないがために1年がかりで地元不動産会社に何度もお願いをし、やっとのことで通行・掘削の承諾書をいただくことができました。
それに加え、害獣駆除・境界設置・建物診断・樹木の伐採など言葉で書くと簡単ですがいくつものすべきことがありました。
きっとどれか1つでも抜けてしまっていたら、売却準備の際の近隣との良好な関係は築けていなかったに違いありません。
それでも1つ1つ、地道にコツコツと、丁寧にご対応していった結果、最終的に当初計画していた値段で売却をすることができました。
もし、路地の通行・掘削の承諾書が貰えていなかったら、境界標の設置ができなかったらと思うと少し不安になってしまいます。
今回のような売却に向けての準備は、一般のお客様がご自身でできるものではありません。(ごく一部のことはできるかもしれませんが)
不動産を売却する際には「売却に向けての準備をし、一般のお客様に向けて高値売却をする方法」と当社のように「不動産のプロである不動産会社に煩わしいことなし、あと腐れないように売却するという方法」があります。
これはどちらが正解というものではありません。
考え方、売却物件の難易度次第なのです。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
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