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仲介事例前の旦那が持っている戸建の持分を買い取りたい(横浜市旭区)

ご相談者:D.T様(インターネットからのお問い合わせ)
横浜市旭区

 今の自宅は一戸建なのですが、その戸建を私の義理の父と妻の前の旦那(以下「Kさん」という)とで共有で所有しています。
 この状況でKさんが住宅ローンの滞納をし、自宅が差し押さえられ、競売になってしまった場合、引越しせざる得ず、小学校に通ううちの子ども達に悲しい思いをさせてしまう。
 それを避けるためにも今のうちにKさんが所有している戸建の持分を私が購入しておきたい。
ただ、地元不動産会社に相談しても、持分だけでは売買できないと断られてしまいました。
リライトさんでは、持分売買の事例がいくつかあるとホームページで拝見しました。
うちも助けてください。

状況

前の旦那が持っている戸建の持分を買い取りたい(横浜市旭区) 状況
【所在】横浜市旭区
・駅から徒歩圏に立地
・小学校が近い(お買い物施設も比較的近くにあり)
・所有形態が義理の父とKさんとの共有
・Kさんの住宅ローンの抵当権が設定されている
・持分の購入に際して、極力自己資金は使いたくない
・建物はハウスメーカー施工の木造で築20年超

解決策

1. 相談者との打ち合わせ

 インターネット経由にお客様より「自宅の権利関係が複雑だから相談したい」旨のご相談をいただきました。
 そして、後日、お客様にご来店いただき、詳細のお話をお聞きしました。
お客様(ご主人様)曰く、今のご自宅が奥様のお父様(義理の父)とKさんとの共有状態となっており、Kさんとは奥様が携帯電話でのショートメッセージで必要最低限で連絡をとる程度の関係でした。
 お客様はそこにご家族でお住まいになっており(Kさんは数年前にお引越し済み)、ご自宅の名義にKさんの名義が入っているため、ご自宅にはKさんが利用している金融機関のローンの抵当権が設定されていました。
 今後、もし、Kさんが住宅ローンの返済を滞納し、金融機関にご自宅を差し押さえられ、競売になってしまった場合、小学校に通うお子様に迷惑をかけてしまうという懸念から、今、できるうちにお客様のほうでKさんが所有している戸建(土地・建物)の持分を購入しておきたいという内容のものでした。
 お客様は当社にご来店いただく前にいくつか不動産会社にご相談をされたそうですが、その不動産会社からは持分だけでは売買できないと言われてしまったそうです。
そして、お客様との面談時に土地・建物に関する資料と既存の住宅ローン(抵当権)に関する資料をお預かりしました。

2. 物件調査の実施

 お客様との面談を終え、早速、市役所などで物件調査を行いました。
もともと数年前に中古戸建としてご購入された物件でしたが、いろいろと調べてみると建物新築時には検査済証を取得し、適法だった建物が前のオーナーさんの時に役所に内緒で増築をして、都市計画で定める建ぺい率を超過していました。(違法状態でした)
※建ぺい率を調査している物件は、基本的に都市銀行・地方銀行・信用金庫での住宅ローンの利用ができません
 もちろん、お客様としてはそのことについては一切知らず、数年前に購入した際に間にはいった不動産会社の調査漏れだったのです。
 その他のことについては、調査において特に懸案事項はありませんでした。

3. Kさんの売却意思確認

 物件調査後は、今回のキーパーソンであるKさんへ連絡をしました。
 理由としては、今後何かしらの作業を行うにしても、そもそもKさんの共有持分の売却意思がなければ何も進まないからです。
そのため、まずはお客様の奥様よりKさんに一報、「リライトの田中から連絡がある」旨、連絡していただきました。
その後、私のほうでKさんに連絡をとり、当社にご来店いただくことになりました。
 後日、Kさんが当社にご来店され、事の経緯、共有持分の売却意思などについてお話をしました。
Kさんとしても、「実は持分は売却したかった。ただ、言い出す機会も、どのように伝えたらよかったかもわからなかった。そのため、持分を売却できるのであれば、協力はする。ただ、売却時に持出しできる自己資金がないため、そのあたりは含んでおいてください。」ということでした。

4. 査定書の作成と資金繰りの打ち合わせ

 Kさんより共有持分の売却意思を確認後、共有持分の売買に向けての準備を進めました。
 まず行ったのが、共有持分の査定書の作成。
 なぜ、査定書を作成したかというとお客様は持分購入に際して、住宅ローンをご利用される予定だったため、客観的に持分を売買した時にいくらくらいで売却できるかを調べておく必要がありました。
 持分売買の大きなポイントは2つです。
1つは売買代金、もう1つは住宅ローンの可否(融資金額を含め)です。
そのため、査定書については、後日、金融機関への住宅ローンの相談の際に提出し、そちらを元に融資金額を協議しました。
 一般的に金融機関は今回のケースの場合、親族間売買とみなし、住宅ローンに消極的になります。
金融機関が親族間売買を懸念する理由は、債務の付け替えや贈与税のリスク(高額売買や低額売買)を監督官庁より指摘される場合があるからです。
 そのため、今回の案件については、3つの査定書を用意しました。
それは取引事例比較法・原価法・収益還元法でした。
その3つの査定書に記載されている査定金額はそれぞれ異なり、どの査定書の査定金額で売買をすれば、お客様に無理のない住宅ローンの返済となり、客観的に適度な金額になるのかを考え、そして、お客様と打ち合わせをしました。
幸いないことに、この時の査定金額はいずれもKさんが借りている住宅ローンの残債の額を超える金額でした。

5. 住宅ローンの事前審査と税金の確認

 お客様との資金計画の打ち合わせも終わり、金融機関との打ち合わせをしました。
 今回はお客様が元々お付き合いのある信用金庫にて住宅ローンの事前審査を行いました。
事前審査の際の申込み金額は持分売買の売買代金に併せて購入時にかかる登記費用や仲介手数料などの諸費用も含めての金額でした。
それでも事前審査申込みから10日くらいで条件付きで融資の事前承認がおりました。
その条件とは、前のオーナーさんが違法で増築してしまっていた部分の撤去、つまり新築当時の間取りに戻すということでした。

 信用金庫への融資の事前審査と併せてお客様、Kさんにはそれぞれ税務署と打ち合わせをしていただきました。
打ち合わせしていただいた内容は、高額譲渡・低額譲渡による贈与税が発生しないか、お客様には住宅ローン控除の利用ができるか、Kさんには譲渡所得税がかからないかということでした。

6. 持分だけの売買契約の締結

 お客様の融資の事前審査が承認されたところで売買契約書の作成にかかりました。
 今回は案件が案件のため、ご契約の際にはまず売主であるKさんに当社にご来店いただき、売買契約書含め契約書類にサインをいただき、後日、買主であるお客様にご来店いただき、すでにKさんが署名済みの売買契約書の買主欄にご署名・押印いただき契約手続きが完了しました。

7. 住宅ローンの本審査申込みと建物の是正工事の実施

 売買契約の締結後、お客様のほうで信用金庫に融資の本審査のお申込みをしていただきました。
 その後間もなく融資の本承認がされ、そこから当初より条件とされていた建物の増築部分の撤去工事をしました。
 それに併せて建物が木造で築20年超だったことから耐震診断を実施、現行法の耐震基準が満たされているとのことで耐震補強工事をせずに耐震基準適合証明書を取得しました。(お客様が住宅ローン控除を利用するために)

8. 既存借入の抹消申出と本人確認

 建物の是正工事を完了し、お引渡し日を決めました。
 その後、お客様は信用金庫さんとのお金の貸借の契約、Kさんは既存住宅ローンの借入先金融機関に「売却代金で完済する」旨の抹消申出と司法書士の先生による本人確認を行いました。
 Kさんの司法書士の先生による本人確認の際に私も同席し、お引渡し時にKさんにご署名いただく書類を予め署名・押印していただきました。

9. 共有持分の残代金・引渡し

 お引渡し日は、前もってお引渡しの準備をしていたため、お客様、Kさんが顔を合わせることなく、お客様のお口座に住宅ローンが実行され、その住宅ローンよりkさんに売買代金(残代金)がお振込みされ、Kさんのお口座から既存住宅ローンが引落しになるという流れでしたが、全て何の滞りもなく、無事に手続きが完了しました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「仲介的な立場」でした。
 
 ここ最近では様々な理由から離婚の件数が増加しています。
その中には今回のように不動産を共有で持ったままの状態で離婚されてしまうケースもあります。
 ただ、離婚してしまった後に売却をしようとしても、実は連絡がとりづらかったり、一方で住宅ローンなどを滞納されてしまうと差押え・競売になってしまう危険性があり、落ち着いて生活することすらできません。

 離婚の場合は、直接のお話が難しいことが多々あります。
 その場合は、無理して直接対面で協議をするのではなく、不動産については不動産会社、権利については、弁護士の先生、司法書士の先生に間に入っていただくということをおすすめします。
 特に不動産会社に間に入っていただく場合は、弁護士の先生、司法書士の先生と比較し、敷居が低いため、それはそれで有効な場合もあります。
 今回の案件については、最初から最後までお客様とKさんが一度も対面することもなく、お客様の「将来のために持分を買いたい」、Kさんの「持分を処分したい」というお悩みの解決することができました!
 さらに言うとお客様は自己資金の持ち出しをせずに全て住宅ローンで対応し、Kさんとしても売却に際して一切の資金の持ち出しをすることはありませんでした。

 前述の通り、持分売買の際のポイントは税金・既存残債を考慮した「売買代金」と融資金額を考慮した「住宅ローン」です。
共有持分の問題は、先送りにしても一切良いことはありません。
できるうちに処理しておく、これが大切ですね。

関係者のみなさま、本当にありがとうございました!

 共有持分の売買については、当社 リライトまでお気軽にお問い合わせください!
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