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仲介事例【横須賀市西逸見町】「借りた土地なのに返せない」地主から返地を断られた契約書のない借地権付建物を解決

ご相談者:S.I 様(お電話でのお問い合わせ)
神奈川県横須賀市西逸見町1丁目

今回ご相談いただいたのは、横須賀市西逸見町1丁目にある借地権付建物の処分についてでした。

物件があるのは、横須賀市特有の谷戸エリア。

車が建物の前まで入れるような場所ではありません。道路から階段を百段以上も上った先に、相談者様が長年暮らしてきた古家がありました。

相談者様はご高齢の女性です。

若い頃には普通に上り下りしていた階段も、年齢を重ねるにつれて大きな負担になっていました。

そこで、娘さんが暮らす新潟県への住み替えを考えるようになりました。

しかし、そのためには現在住んでいる借地権付建物を何とかしなければなりません。

相談者様が一番心配されていたのは、

「この借地を残したままでは、将来、娘に迷惑をかけてしまう」

ということでした。

そこで当社へ相談する前に、ご本人が直接地主さんに、

「建物を解体して更地にしますので、土地をお返ししたい」

と申し出ていました。

ところが――。

地主さんから「返地は受けない」と断られてしまったのです。

「借りている土地なのに、返すことができないの?」

一般の方からすれば、不思議に思われるかもしれません。

相談者様も、自分だけではどうすればいいのかわからなくなってしまいました。

そこで、難あり不動産や借地・底地、再建築不可物件などを扱っている当社 株式会社リライトへご相談いただきました。

状況

【横須賀市西逸見町】「借りた土地なのに返せない」地主から返地を断られた契約書のない借地権付建物を解決 状況

現地と権利関係を確認していくと、今回の案件が単なる「古家を解体して返地する案件」ではないことがわかりました。

大きな問題は、主に4つありました。

1.借地契約書が存在しない

まず驚いたのが、借地契約書がないことでした。

現在のように地主さんと借主が契約書を取り交わして始まった借地ではありません。

昔、地主さんと相談者様側との口頭による約束から始まった借地契約でした。

古くから続いている借地では、このようなケースがあります。

しかし、

「契約書がない=借地権が存在しない」

という単純な話ではありません。

実際に土地を借り、その上に借地人名義の建物を所有し、長年生活してきた事実があります。

昔からの借地を処分する際には、書面がないからこそ、これまでの経緯や現在の権利関係を一つずつ確認していく必要があります。

2.地主さんが返地を拒否していた

相談者様は借地権を高値で売却したいわけではありませんでした。

むしろ、

「借りていた土地なのだから、自分で建物を壊して更地にしてお返ししたい」

という考えでした。

ところが地主さんは、その返地を受け入れていませんでした。

借地人が「返したい」と言えば、一方的にすべてが終わるとは限りません。

ここが今回の大きな問題でした。

3.借地期間が残っており、税務上の整理も必要だった

さらに確認すると、借地期間が残っていました。

借地権は、単なる「他人の土地を借りている状態」ではありません。

場合によっては財産的価値を持つ強い権利です。

そのため、

「いらないから無償で地主さんに返します」

と処理すれば必ず問題がない、とは限りません。

借地権を無償で消滅させることによって、地主側への経済的利益の移転として税務上どう扱われるのかも確認する必要がありました。

相談者様は、

「解体費用を負担してでも、自分の代で終わらせたい」

というお気持ちでした。

だからこそ、後になって別の問題が発生しない形で借地関係を終了させる必要がありました。

4.百段以上の階段上にある古家

そして、実務上もう一つ大きな問題がありました。

建物の立地です。

横須賀市の谷戸エリアにあり、建物へ行くには階段を百段以上も上らなければなりません。

一般的な住宅の解体であれば、建物の近くにトラックや重機を配置できます。

しかし、今回はそう簡単ではありません。

解体費用や搬出作業を考えても、平坦地にある古家とは条件が大きく異なります。

借地権という権利上の問題だけでなく、「どうやってこの建物を壊すのか」という物理的な問題まで抱えていました。

解決策

私たちが最初に考えたのは、

「そもそも、この借地権を売却する方法はないのか」

ということでした。

借地権は財産権です。

地主さんとの協議によって譲渡が可能なのであれば、借地権売却という選択肢も考えられます。

そこで、まず地主さんと打ち合わせを行いました。

しかし、相談者様のお話を改めて伺うと、ご本人が本当に望んでいることが見えてきました。

それは、

「お金に換えることより、娘にこの問題を残さず、自分の代できれいに終わらせたい」

ということでした。

ならば、私たちが考えるべきなのは最高値での売却ではありません。

相談者様が安心して借地関係を終えられる方法です。
 

税務署と借地権の消滅について確認

そこでまず、税務上の問題を整理しました。

借地期間が残っている状況で借地権を無償で消滅させることについて、後から問題が生じてはいけません。

そのため税務署にも確認しながら、今回の事情が借地権の消滅事由としてどのように整理できるのかを詰めていきました。

不動産の問題は、不動産会社だけで完結するとは限りません。

登記、税務、借地借家関係、行政など、案件によって確認すべき相手は変わります。

特に昔から続いている借地は、

「昔からこうだったから」

だけで進めることが一番危険です。
 

地主さんと再度協議

税務上の整理をしたうえで、私が地主さんと改めて協議しました。

相談者様はすでに一度、ご自身で返地を申し出て断られています。

だからといって、

「地主が断ったから無理ですね」

で終わらせてしまえば、相談者様はこの借地を抱え続けることになります。

そして将来相続が発生すれば、今度は娘さんが同じ問題に向き合うことになるかもしれません。

それだけは避けたい。

地主さん側の事情も確認しながら、相談者様が建物を解体し、更地として返還する方法について改めて話し合いました。

同時に重要だったのが地代です。

建物を解体して土地を明け渡したにもかかわらず、借地契約だけが曖昧なまま残り、その後も地代が発生するようでは問題解決になりません。

そのため、

「どの時点で借地関係を終了させ、いつまで地代を支払うのか」

という点についても整理しました。

交渉の結果、地主さんとの協議は無事にまとまりました。
 

百段以上の階段上にある古家を解体

次はいよいよ建物の解体です。

現地は何度見ても、

「よくここに家を建てたな」

と思うような場所でした。

横須賀の谷戸には、車が入れない場所や階段を上った先に住宅が建ち並んでいる地域があります。

今回もまさにその一つです。

そして解体後の現地を見た時には、

「この条件で、よくここまできれいに解体してくれたな」

と解体業者さんの仕事に感心しました。

最後に、法務局で建物がなくなったことを登記簿へ反映させる建物滅失登記を行いました。

これですべての手続きが完了。

相談者様が長年暮らしてきた建物は更地となり、地主さんへの返地も完了。

そして何より、

長年続いた借地関係そのものを、相談者様の代で終わらせることができました。

担当者からの一言

今回の案件には、私が難あり不動産を扱ううえで大切にしていることが凝縮されていました。

不動産の問題というと、

「いくらで売れるのか」

「買取してもらえるのか」

と考えがちです。

しかし実際には、

売却しないことが最善の解決になる案件もあります。

今回の相談者様は、借地権を少しでも高く売りたいのではありませんでした。

望んでいたのは、

「自分が元気なうちに、この借地問題を終わらせて娘に負担を残さないこと」

でした。

しかも、ご自身ですでに地主さんへ返地を申し出て、一度断られています。

契約書もない。

昔の口頭契約。

借地期間も残っている。

税務上の確認も必要。

地主との再交渉も必要。

そして最後には、階段を百段以上も上った先にある古家を解体しなければならない。

一つだけなら解決できても、問題がいくつも重なった瞬間に「取り扱えません」となる不動産は少なくありません。

これは再建築不可、未接道、私道、底地・借地、市街化調整区域、農地、山林などにも共通しています。

だから私は、最初から、

「これは売れない」
「これは無理」

とは決めつけないようにしています。

私たちが掲げている、

「売れない不動産はない」
「相場がないところに相場をつくる」

という言葉も、必ず高値で売却するという意味ではありません。

売却する。

買取する。

隣地所有者につなぐ。

借地権と底地を整理する。

農地を農家へつなぐ。

そして今回のように、権利関係そのものを終わらせる。

その不動産と、その所有者に合った出口を探すことが重要だと考えています。

今回、私が一番印象に残ったのは、相談者様の、

「娘に迷惑をかけたくない」

という想いでした。

人口減少、高齢化、空き家問題が進むこれからの日本では、「親の不動産を子どもが相続して困る」というケースはさらに増えていくと思います。

特に昔からの借地や底地、契約書のない借地、再建築不可の空き家などは、相続して初めて問題の複雑さに気づくこともあります。

だからこそ、子どもに負担を残さないために、自分の代で整理する。

それも立派な不動産対策です。

そして地主さんにとっても、相談者様にとっても納得できる着地点を探す。

それも私たちが考える**「不動産による縁結び」**の一つです。

借地権を売却したい。
地主に土地を返したい。
借地契約書がない。
地主と話がまとまらない。
相続した借地権付建物を処分したい。
再建築不可や未接道の空き家を何とかしたい。

そんな問題を抱えていても、最初から諦める必要はありません。

どんな不動産にも、可能性はあります。

他社で断られた不動産や、「こんなことを不動産会社に相談していいのだろうか」と迷っている不動産でも、当社 株式会社リライトまでお気軽にご相談ください。