仲介事例大手不動産会社も対応困難。「第三者には売れない」と言われた借地権付建物を約1年かけて売却
| ご相談者: | H.N 様(大手不動産からのご紹介) 東京都荒川区 |
今回ご紹介するのは、東京都荒川区西尾久にある借地権付建物の売却です。
ご相談のきっかけは、大手不動産仲介会社から当社へいただいた一本の連絡でした。
「借地権で、建物にも問題がある。取引金額も小さいため、当社では対応が難しい。リライトさんで対応してもらえませんか」
というものでした。
売主様には、この不動産を売却して得た資金を住み替え先の購入費用に充てたいという切実な事情がありました。
そのため、売れないからといって長期間放置しておける案件ではありません。
当初、当社では当社自身が物件を買い取り、問題点を整理したうえで再販売することを検討しました。
ところが、実際に調査を始めると、一般的な不動産売却では解決しづらい問題が次々と判明していきました。
状況

まず大きな問題だったのが、借地面積が約33㎡しかない狭小な借地権付建物だったことです。
さらに建物を調査すると、建築確認上の内容と実際の建物の状況が一致していないことが分かりました。
当初2階建として建築確認を受けていたにもかかわらず、現況は3階建。
建蔽率・容積率についても問題を抱えており、築年数も経過し、建物には相応の老朽化が見られました。
つまり、
- 約33㎡の狭小借地
- 借地権付建物
- 建築確認と現況が一致していない
- 建蔽率・容積率に問題
- 老朽化した既存建物
- 一般的な住宅ローンの利用が困難
という、購入希望者を探すうえで大きなハードルがいくつも重なっていました。
そして、さらに大きな問題が地主様の承諾でした。
借地権を第三者へ売却するには、地主様との調整が非常に重要になります。
当社で買い取ることを前提として、私自身が地主様のご自宅を訪問。
ご挨拶をしたうえで借地権売却についてお話しすると、地主様から返ってきたのは、
「第三者への借地権の売却は承諾できません」
という回答でした。
この時点で、当初予定していた当社による買取再販は難しくなりました。
通常であれば、ここで「当社では取り扱えません」となっても不思議ではありません。
しかし、それでは売主様が困ってしまいます。
売主様は、売却代金を住み替え先の購入資金に充てる必要があったからです。

解決策
■「買えない」なら、売り方そのものを変える
私はここで方針を大きく変更しました。
当社が買い取れないから終わり、ではなく、売主様が売却できる別の方法を探そう。
そして地主様へ、こんな提案をしました。
「第三者への売却が難しいのであれば、地主様ご自身で借地権を買い戻されてはいかがでしょうか」
底地を所有する地主様が借地権を取得すれば、土地と借地権の関係を整理できます。
後日、地主様と、地主様がお付き合いされているリフォーム業者様に建物内部をご見学いただきました。
そのうえで地主様から購入希望金額をご提示いただき、売主様との条件調整を開始しました。
ここから当社の立場は、買取業者から仲介会社へ変更。
当社の利益を優先するのではなく、売主様が住み替えできることを最優先にした判断でした。
■ 更新料の分割払いなど、借地特有の問題を整理
ところが、条件調整を始めると、さらに問題が出てきました。
過去の借地契約更新時、売主様側には更新料を一括で支払う資金的余裕がなく、地主様へ更新料を分割払いしていました。
そのため、
売買代金をいくらにするのか。
残っている更新料をどう精算するのか。
引渡し時にどの金銭をどのように処理するのか。
地主様・売主様双方と協議し、一つずつ整理していきました。
さらに、借地権と建物の名義関係についても確認・整理が必要でした。
こうした条件調整を終え、当社で売買契約書と重要事項説明書を作成。
ようやく、
「これで契約できる」
というところまでたどり着きました。
しかし、本当の難関はここからでした。
【契約直前に発覚した「売却意思を確認できない」という問題】
借地権の権利者であるお母様は、高齢者施設に入所されていました。
事前には娘様から、
「母とは会話のやり取りもできますし、売却の意思確認もできます」
と伺っていました。
それでも不動産売買は大きな法律行為です。
契約前に念のため、私自身が施設へ伺い、お母様と直接面談することにしました。
ところが――。
実際にお会いすると認知症が進行しており、こちらから不動産売却についてお話ししても、売却意思を確認できる状態ではありませんでした。
ここで無理に契約を進めることはできません。
売買契約直前まで進んでいましたが、一旦ストップしました。
【成年後見制度を利用。さらに約5か月待つことに】
そこから売主様側と司法書士の先生で、成年後見制度を利用するため家庭裁判所への申立てを進めました。
必要書類の準備や裁判所での手続きなどに時間を要し、成年後見人が選任されたのは約5か月後。
ようやく売却できる――。
と思いましたが、まだ終わりではありません。
成年被後見人の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要となるケースがあります。
そのため、当社でも裁判所への売却許可申請に必要となる不動産査定書等を作成。
売主様側でも必要な手続きを進めていただき、最終的に裁判所から売却許可を得ることができました。
そして、成年後見人となった娘様と、買主となった地主様が対面。
売買契約を締結し、無事に決済・引渡しまで完了しました。
最初のご相談から、足かけ約1年。
狭小借地、建物の法的問題、地主様の第三者譲渡不承諾、更新料、名義関係、成年後見、家庭裁判所の売却許可……。
いくつもの問題を一つずつ解決し、ようやくたどり着いた売却でした。
担当者からの一言
今回の案件は、本当に紆余曲折の連続でした。
一つ問題を解決すると、また次の問題が出てくる。
無事に引渡しが終わった時には、私自身、心底ホッとしました。
ただ、この案件で一番お伝えしたいのは、難しい借地権でも売れたことだけではありません。
当初、当社はこの物件を買い取る予定でした。
しかし地主様から第三者への借地権譲渡を承諾できないと言われたことで、当社の買取再販という事業は成立しなくなりました。
そこで、
「買えないので、お手伝いできません」
とお断りすることもできました。
でも、それでは売主様が住み替えできない。
だから私は、買取りをやめて仲介に切り替えました。
そして、
「第三者が買えないなら、地主様に買っていただけばいい」
と発想を変えました。
不動産の問題解決では、最初に考えた方法に固執しないことが非常に重要です。
誰に売るのか。
どういう形なら買えるのか。
何が売却を妨げているのか。
一つずつ紐解いていけば、一般市場では「売れない不動産」に見えても、別の出口が見つかることがあります。
私は全国の再建築不可、借地、底地、農地、山林、市街化調整区域、空き家などを扱う中で、
「売れない不動産はない」
と考えるようになりました。
もちろん、何でも高く売れるという意味ではありません。
一般的な相場が存在しない不動産なら、関係者と調整しながら**「相場がないところに相場をつくる」**。
今回であれば、売主様と地主様。
双方の事情を整理し、両者が納得できるところに着地点をつくる。
それも私たちが考える「不動産による縁結び」です。
人口減少や高齢化が進むこれからの日本では、借地権や底地、相続不動産、成年後見が絡む空き家など、単純に不動産ポータルサイトへ掲載するだけでは解決できない物件がさらに増えていくと思います。
再建築不可だから。
違反建築だから。
借地だから。
住宅ローンが使えないから。
成年後見が必要だから。
それだけで諦める必要はありません。
どんな不動産にも、可能性はあります。
他社で断られた借地権、底地、再建築不可、違反建築、相続不動産、空き家などでお困りの方は、お気軽に株式会社リライトまでご相談ください。




