仲介事例【東京都大島町】建築できない約557坪の土地を1円で売却|高齢者4名の共有不動産を相続前に解決
| ご相談者: | M.Y 様(当社ユーザー様) 静岡県駿東郡小山町 |
今回ご相談いただいたのは、以前、当社で不動産の売却をお手伝いさせていただいたお客様でした。
きっかけは、ご家族で将来について話をされていた時のこと。
「そういえば、伊豆大島に遠い親戚4人で共有している土地がある」
そんな話になったそうです。
土地は東京都大島町元町にあり、面積は1,841㎡、約557坪。
問題は、共有者4名全員がすでにご高齢だったことでした。
土地を所有している限り固定資産税はかかりますし、利用していなくても管理の問題は残ります。
そして、お客様が何より心配されていたのがこれから発生する可能性がある相続でした。
現在は4名の共有でも、そのうちどなたかに万が一のことがあれば、その持分が相続人へ承継される可能性があります。
共有者が増えれば増えるほど、土地を売却したい、処分したいと思った時に、関係者全員の意思をまとめることが難しくなります。
「子どもたちの世代に、この問題を残したくない」
そんな将来への不安もあり、以前取引をした当社へ再びご相談いただきました。
しかし、最初から共有者全員が売却に賛成していたわけではありません。
4名のうち1名は、意思確認こそできるものの、土地を手放すことには後ろ向きなご様子。
そこでまずは、共有者の皆様で今後について話し合っていただくところから始めました。
状況

手放したいと考えていた共有者3名から、売却に後ろ向きだった1名へ説明していただき、最終的には4名全員の売却意思をまとめることができました。
しかし、問題は共有関係だけではありませんでした。
実際に土地を売却するためには、
「そもそも、この土地は何に使えるのか?」
を調べなければなりません。
そこで私は東京・竹芝から高速船に乗り、伊豆大島へ現地調査に向かいました。
現地を確認すると、何十年も放置されてきた土地には雑木やツタが生い茂り、まるで山林のような状態。
土地の中へ入っても、どこまでが対象地なのか容易には分かりません。
現地にはキョン避けの柵も設置されており、境界も明確には確認できませんでした。
さらに周辺道路も狭い。
そして法令関係を調査すると、売却するうえで非常に大きな問題が判明しました。
建築基準法上の接道義務を満たしていない
この土地は、建築基準法で定められた接道義務を満たしておらず、建物の建築や開発行為ができない土地でした。
いわゆる「再建築不可」と呼ばれる不動産以上に、利用方法そのものを考える必要がある土地です。
さらに、
上下水道なし。
ガスなし。
長年放置。
境界不明。
狭い周辺道路。
そして離島。
面積だけを見れば約557坪という広大な土地です。
しかし、不動産は「広ければ価値が高い」というものではありません。
実際に何に利用できるのか。
そこまで考えなければ価格は決まりません。
一般的な住宅用地として販売することは極めて難しい土地でした。

解決策
今回のような共有不動産では、買主を探すだけでは問題は解決しません。
まず、売主様側の意思と手続きを一本化することが重要でした。
司法書士の先生にご協力いただき、共有者4名それぞれについて本人確認を実施。
登記に必要となる書類への署名や必要書類の受け渡しも進めていただきました。
さらに私は、売却活動から契約、引渡しまでをスムーズに進めるため、相談者であるお客様へ、他の共有者から手続きを委任するための委任状をご用意いただくようお願いしました。
そして、現地調査の結果を踏まえて売却活動を開始。
設定した販売価格は――
「1円」
でした。
ただ、ここでぜひ知っていただきたいことがあります。
不動産は、1円にすれば必ず売れるわけではありません。
1円不動産の場合、購入代金よりも、その後の維持管理や固定資産税、草木の管理、利用方法などの負担の方が大きくなるケースがあります。
今回も「東京都」「約557坪」「1円」という条件だけを見れば問い合わせが殺到しそうですが、実際にはそうではありませんでした。
離島である伊豆大島。
建物を建築できない。
インフラもない。
土地は荒れている。
利用方法が極めて限られる。
そのため、1円で販売してもお問い合わせは想定していたほど多くありませんでした。
それでも、私たちは売却活動を続けました。
すると、大島にお住まいの方とのご縁が生まれます。
その方からいただいた言葉が、今でも印象に残っています。
「所有者の方がお困りなら、島に住んでいる我々の誰かが引き受けてあげないとならないな」
この言葉をきっかけに、地元の方が土地を引き受けてくださることになりました。
まさに、相場がないところに相場をつくるような取引でした。
買主様が決まってからは売買契約書の案文を作成し、売主様・買主様へ事前に送付。
司法書士の先生には売主様との面談、登記関係書類への署名、必要書類の受け渡しを進めていただきました。
その後、共有者を代表する相談者様に当社へご来店いただき、売主様側の契約手続きを先行して行いました。
そして私は、契約のため2度目の伊豆大島へ。
ところが今度は天候という離島特有の問題が発生しました。
荒天により高速船が欠航する可能性が高くなったため、急遽予定を変更。
何の準備もないまま、契約日前日に大島へ渡りました。
翌日、無事に買主様と対面し、売買契約を締結。
売買代金は、
1円。
売主様に代わり、私が買主様から受け取ったのは1円玉1枚でした。
金額だけを見れば、たった1円です。
でも、その1円玉を手にした時、私はとても重く感じました。
4名の共有者の意思をまとめ、司法書士と調整し、高速船に乗って現地を調査し、1円で販売してもなかなか買主様が見つからず、それでも諦めずに探し続けた。
そのすべてが、この1円玉に詰まっているように感じたからです。
さらに契約後、買主様の前から売主様へ電話でご報告すると、意外にも双方に共通の知人がいることが判明。
話が弾みました。
「売れない不動産」が、人と人とのご縁をつないでくれた瞬間でした。
担当者からの一言
今回の案件は、当社にとって報酬0円のボランティア案件でした。
それでも伊豆大島まで2度渡りました。
採算だけで考えれば、不動産会社が積極的に扱いたい案件ではないでしょう。
しかも今回の問題は、一つではありません。
高齢者4名による共有。
将来の相続問題。
建築基準法上の接道義務を満たさない土地。
建築・開発不可。
インフラ未整備。
境界不明。
長年放置された土地。
そして離島。
これだけ問題が重なれば、「取り扱えません」と言われても不思議ではありません。
しかし私は、日本全国の売れない不動産を見てきて、一つ感じていることがあります。
「売れない不動産はない」
もちろん、何でも高く売れるという意味ではありません。
1円でも売れない不動産はあります。
0円でも引き取り手が見つからない不動産もあります。
大切なのは、その不動産の問題を正確に調べ、「誰ならこの土地を必要としてくれるのか」を考えることです。
一般的な住宅用地として価値がなくても、別の人にとっては利用価値があるかもしれない。
市場に相場がないのであれば、買主様と売主様が納得できるところに「相場がないところに相場をつくる」。
それが、売れない不動産を扱う私たちの仕事だと思っています。
今回、売主様にとっては長年抱えていた共有不動産を手放すことができました。
そして買主様は、大島に住む方。
島の土地が、島を知る人へ引き継がれました。
これこそ、私が大切にしている「不動産による縁結び」だったと思います。
人口減少や高齢化が進むこれからの日本では、今回のような不動産はさらに増えていくでしょう。
地方の空き家、山林、農地、再建築不可、接道していない土地、市街化調整区域、共有不動産――。
「価値がないから」と放置している間にも相続は発生します。
そして子ども、孫へと権利が移れば、問題はさらに複雑になる可能性があります。
だからこそ、子どもに負担を残さないためにも、自分たちの世代で一度、不動産の将来を考えてみる。
それはとても大切なことだと思います。
今回の売買代金は1円でした。
しかし、その1円によって4名の共有者が抱えていた将来への不安が一つ解消され、土地は新しい所有者へ引き継がれました。
どんな不動産にも、可能性はある。
再建築不可、建築不可、共有名義、相続不動産、1円不動産、山林、農地など、他の不動産会社に相談して断られてしまった物件でも、まずは状況をお聞かせください。
同じようなお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社リライトまでご相談ください。
今回の解決までの様子はYouTubeでも公開しています。




