仲介事例【解決事例】何社にも断られた市街化調整区域の建築不可土地を1円で売却-「死んでも死にきれない」土地が、母の夢を叶える果樹園へ
| ご相談者: | E.S 様(当社ホームページからのお問い合わせ) 東京都日野市 |
「この土地を持ったままでは、死んでも死にきれないんです」
埼玉県入間郡越生町に土地を所有する80代の売主様は、契約の席でそうお話しくださいました。
売主様がこの土地を購入したのは昭和43年。当時、「将来は家を建てられる」「持っていれば価値が上がる」と説明され、右も左も分からないまま購入したそうです。
しかし、実際に家を建てることはないまま長い年月が経過。その後、土地は市街化調整区域となり、接道上の問題もあって、現在では建物を建築できない土地になっていました。
毎年の固定資産税は約4,400円。金額だけを見れば、それほど大きな負担には感じられないかもしれません。
しかし、土地を持っている限り、草木の管理や近隣への配慮が必要です。擁壁が崩れれば、所有者として対応しなければなりません。そして、売主様が最も心を痛めていたのは、自分が亡くなった後、この土地を娘様やお孫様に相続させてしまうことでした。
ご家族からも何かにつけて、
「あの土地はどうするの?」
と聞かれ、その言葉が売主様にとって大きなプレッシャーになっていたそうです。
土地を処分しようと複数の不動産会社へ相談しましたが、返ってきた答えは、
「建物が建たないので売れません」
「農地なので扱えません」
「買う人がいないと思います」
というものばかりでした。
どこに相談しても断られ、どうすればよいのか分からない。それでも、「子どもに負動産を残したくない」という思いから、売主様は諦めずに相談先を探し続け、当社 株式会社リライトへお問い合わせくださいました。
状況

現地を調査すると、一般の不動産会社が取り扱いを断る理由が分かりました。
この土地には、売却を難しくする問題がいくつも重なっていたからです。
まず、所在地は市街化調整区域内でした。
市街化調整区域とは、市街地が無秩序に広がらないよう、原則として新しい建物の建築を抑える区域です。ただし、市街化調整区域だから必ず建築できないわけではありません。建築できるかどうかは、土地の成り立ちや道路との接し方、行政の許可要件などを個別に調査する必要があります。
今回の土地は、それに加えて建築基準法上の道路に必要な形で接していませんでした。
そのため、住宅を建てたり、将来建て替えたりすることができない、いわゆる再建築不可・建築不可の土地でした。
さらに、次のような問題もありました。
- 車を土地の中まで乗り入れることが難しい
- 水道を使用するには新たな延伸工事が必要
- 古い石積み擁壁の一部が崩れている
- 伐採された木や切り株が残されている
- 土地が長期間利用されず、管理が行き届いていない
- 登記上の地目が「畑」となっている
特に大きな障害となったのが、農地法の問題です。
登記地目が「畑」で、現況も農地として扱われる土地は、所有者が自由に誰にでも売却できるわけではありません。農地を農地として売却する場合には、原則として農業委員会の許可が必要であり、買主様にも農業を行うための要件が求められます。
一方、この土地は車両の乗入れが難しく、長年耕作されていない状態でした。農機具を入れて本格的に農業を行うには、使い勝手が良いとはいえません。
つまり、
- 住宅用地としては建築できない
- 農地としても利用しづらい
- 資材置場としても車両が入りにくい
- 擁壁や残置物の管理負担がある
という、利用方法が極めて限られた土地だったのです。
通常の不動産会社は、住宅や事業用地として一定の市場価格で売れる物件を中心に取り扱います。今回のように再建築不可、市街化調整区域、農地、未接道に近い接道問題、擁壁の崩れなどが重なると、調査や説明に多くの時間がかかる一方で、売買価格や仲介手数料は低くなります。
それが、何社もの不動産会社から断られてしまった大きな理由でした。

解決策
当社では、最初から「売れない」と決めつけるのではなく、まず現地と法令上の状態を整理するところから始めました。
再建築不可や市街化調整区域の不動産は、インターネットや登記情報を見るだけでは判断できません。
現地では、土地への進入経路、道路との接し方、高低差、石積み擁壁の状態、樹木や残置物、近隣との位置関係を確認しました。
そのうえで、役所にて都市計画や建築の可否を調査。農地としての扱いについては、越生町の農業委員会へ相談しました。
調査を進める中で、この土地を売却するには、まず「畑」という登記上の状態を整理する必要があると考えました。
そこで、土地の現況や長期間の利用状況を農業委員会に説明し、今後の手続きについて協議しました。
売主様にもご協力いただき、必要な確認を進めた結果、農地として利用されていない現状を踏まえて、法務局へ地目変更登記を申請。「畑」から「雑種地」へ変更することができました。
単に登記簿の表示を変えればよいわけではありません。農地法上の扱いを確認せず、実態と異なる地目変更を進めることはできないため、農業委員会との事前協議が重要でした。
地目を雑種地へ変更できたことで、農地法による買主の制限がなくなり、農業従事者以外の方にも売却できる可能性が生まれました。
しかし、地目が変わったからといって、すぐに高値で売れる土地になったわけではありません。
建築不可であること、車両の乗入れが困難であること、擁壁が一部崩れていること、水道工事が必要であることなど、土地が抱える問題は残っています。
そこで当社は、問題点を隠さず、すべて公開したうえで販売を開始しました。
価格は1円です。
「土地を1円で売る」と聞くと、簡単に買主が見つかると思われるかもしれません。しかし、1円不動産は、価格が安いからこそ、買主様に将来の管理責任や費用を正しく理解していただく必要があります。
所有権を取得すれば、草木の管理、固定資産税、擁壁の維持、近隣対応なども引き継ぐことになります。
そのため、単に「無料同然だから欲しい」という方ではなく、この土地の欠点を理解し、それでも明確な利用目的を持つ方を探しました。
販売活動では、再建築不可や市街化調整区域という問題だけでなく、自然に囲まれた環境や、果樹栽培、家庭菜園、タケノコや椎茸栽培など、建物を建てないからこそ考えられる使い方も発信しました。
そして、ついに買主様とのご縁が生まれました。
買主様がこの土地を購入する目的は、
「母が以前から夢見ていた果樹園をつくること」
でした。
すでに植える果樹の種類も考えており、土地を取得した後の具体的な計画までお持ちでした。
売主様にとって、長年ご家族への負担を心配してきた土地。
その土地が今度は、別のご家族の夢を叶える場所になる。
契約時、売主様は、
「買ってくださる方が現れて、本当に良かった」
「これで娘や孫に迷惑をかけずに済みます」
と、安堵された様子でお話しくださいました。
同席された娘様からも、この土地を手放すために長い間苦労してきたこと、ようやく肩の荷が下りたことを伺いました。
売買価格は1円です。
しかし、この取引によって解決できた問題と、生まれたご縁の価値は、決して1円ではありませんでした。
担当者からの一言
今回の案件で改めて感じたのは、まず動くことの大切さです。
売主様が「何社に相談しても断られたから、もう無理だ」と諦めていたら、この取引は実現しませんでした。
農業委員会へ相談しなければ、地目を整理できる可能性にもたどり着けませんでした。
現地を確認せず、「再建築不可だから売れない」と判断していれば、果樹園という使い方も見えてこなかったと思います。
不動産の問題は、一つだけとは限りません。
再建築不可、市街化調整区域、農地、山林、私道、借地、底地、境界、擁壁、残置物など、複数の問題が重なっていることもあります。
大切なのは、問題を一つの大きな塊として見るのではなく、一つずつ分解し、解決できる部分から動くことです。
私は「相場がないところに相場をつくる」ことが、難あり不動産を扱う私たちの仕事だと考えています。
それは、無理に高い価格をつけるという意味ではありません。
その不動産の問題を正しく調べ、利用できる可能性を見つけ、それを必要とする人に届けることです。
人口減少が進む日本では、今後、地方の空き家や利用されない農地、山林、建築できない土地がさらに増えていきます。相続によって、使う予定のない相続不動産を突然引き継ぎ、「実家処分や農地処分をしたいが、どこに相談すればよいか分からない」という方も増えていくでしょう。
所有者にとっては負動産でも、使い方と相手が変われば、誰かの宝物になることがあります。
今回の土地は、売主様にとっては子どもに残したくない土地でした。
しかし、買主様にとっては、お母様の夢を叶える果樹園です。
これこそが、株式会社リライトが大切にしている「不動産による縁結び」だと思います。
売買価格が1円でも、0円でも、問題が解決され、次の方が大切に活用してくださるのであれば、その取引には大きな意味があります。
売れない不動産はない。
ただし、売るためには、現地へ行き、役所で調べ、関係者と話し、必要な手続きを積み重ねなければならないことがあります。
他社で断られた再建築不可の土地、市街化調整区域の不動産、農地や山林、接道に問題のある土地でも、すぐに諦める必要はありません。
どんな不動産にも可能性はあります。
同じようなお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社リライトへご相談ください。




