仲介事例田舎の墓地と農地を無事に手放せた話(新潟県燕市)

ご相談者:I.T様(大手不動産会社の方からのご紹介)
東京都町田市

 私の実家の新潟県燕市に代々引き継いできた宅地、墓地と農地があります。
 私達家族はすでにこちら(東京都町田市)で生活しており、向こうに戻ることはありません。
 それに私も高齢となり、このまま維持費用だけがかかる田舎の土地を子どもに相続させることもしたくありません。
 大手不動産会社にその土地の処分についてご相談をしましたが、「対応できるエリアではない」と断られてしまい、その大手不動産会社よりおたくのことをお聞きし、ご相談させていただきました。
 ご対応いただけないでしょうか?

状況

田舎の墓地と農地を無事に手放せた話(新潟県燕市) 状況
【所在】新潟県燕市 農地+墓地
・駅からバス便のエリア
・売却希望の土地が2か所(それぞれ道路で分断)
 ※宅地部分:約1,300㎡+農地・墓地部分:約1,400㎡
・以前解体された建物の残骸がそのまま現地に放置されている
・境界標が不明
・樹木が道路に覆い被さっている
 ※市役所から行政指導の通知を受けている
・土地が一部農地となっている
・土地の一部に墓地(今は墓碑があるのみ)がある
・固定資産税が毎年12万円もかかっている

解決策

1. お客様との打ち合わせ

 お客様からお電話をいただき、お客様がご高齢ということもあり、ご自宅に伺いました。
 お客様からは「新潟で代々相続してきている墓地と農地がある。宅地の方は建物を解体してはあるものの、廃材は現地に放置してある状況です。大手不動産会社に売却の相談をしましたが、エリア的に対応できないと言われてしまい、地元不動産会社からは売れないと言われてしまっている。大手不動産会社の方よりおたくの会社のことを聞いて、ご連絡させていただいたのですが、おたくでご対応いただけないでしょうか?」という旨のお話をいただきました。
 お客様にお聞きしたところ、現地の維持管理がされていないため、市役所から「しっかり管理するように」と行政指導を受けているとのことでした。
 お客様のご要望は、「子どもに残したくないので、とにかく手放せればいい」ということでした。
 いろいろとお話をした結果、状況が状況なだけに当社以外で売却できる会社がないと思い、お仕事をお引受けさせていただくことにしました。

2. 現地調査で気づくこと

 お客様からお仕事のご依頼をいただき、現地調査等の準備をしました。
 そして、準備が整ったところで新潟県燕市の現地を訪問。
現地では、次のことがわかりました。

1.宅地部分、農地部分ともに大部分の境界標が不明なこと
2.宅地部分の樹木がかなり大きくなっており、前面道路を覆ってしまっていました
3.宅地部分には、以前解体された建物の廃材がそのまま放置されていました
4.農地部分の奥には墓地部分がありました
 ※売主様曰く、現状では墓碑だけがある状態とのこと

 そして、現地では土地の周辺の長さや越境なども調査しました。

3. 市役所調査などで判明したこと

 現地の後は、法令上の制限などを調べるために市役所等に行きました。
そこでは、次のことが判明しました。

1.農地部分があるため、売却時には農地法の許可が必要となり、
  農地法の許可取得時に決済金、特別排水負担金がかかること
2.宅地部分の解体された建物の登記が残ってしまっていたこと
3.宅地部分の周囲が水路で囲まれており、建築基準法上の接道義務を
  満たしていないこと
4.墓地部分のみ相続登記がされていなかったこと
5.墓地部分が墓地台帳に登録されたままとなっていたこと
 ※違う用途で使用する時には「廃止許可」が必要
6.川に近く、河川法の規制を受けること

 そして、今回の物件を処分するうえで大きなポイントとなる2つは、「墓地部分」があることと「農地の売却」でした。
 理由は、一般的に「第三者が利用されていた墓地」を購入するのは少し気が引けるからです。

 ついでに燕市役所では、今回の売却目的物件について「寄付したいのですが市のほうで受け取っていただけないか」とお願いしました。
・・・が、結果はご想像の通り、「不動産の寄付は受け付けていません」と断られてしまいました。

4. 近隣不動産会社での相場のリサーチ

 市役所などの調査の後、実際の不動産市況を調べるために地元不動産会社を数件訪問しました。
 その際、地元不動産会社の方よりお聞きしたことに衝撃を受けました。
 それは、「この周辺では、人も減り、不動産が全く動いていません。(売れてません)相続が発生した時には亡くなった方の預金が100万円前後の場合、相続人は不動産の処分が大変なことを知っているため、みんな相続放棄をしている」と。
 実際の他の不動産会社でも同様のお話をお聞きし、新潟県燕市の厳しい不動産市況を目の当たりにしました。

5. 各種見積りの取得

 現地での調査結果をもとに購入希望者が気になる点につき、予め地元の方で見積もりを取得しました。

・墓地部分の相続登記は、司法書士の先生に
 →相続登記費用は約8万円でした

・境界標がないことについては、地元の土地家屋調査士の先生に
 →1,000㎡以上の土地2か所の測量費用の合計は約112万円でした

・農地法の許可申請については、地元の行政書士の先生に
 →5条許可取得及び決済金等の合計は約87万円でした

・樹木の伐採・伐根、整地費用については、地元の工事会社に
 →県道沿い、産業廃棄物の処理費用がかかるため、約900万円でした
  ※売主様の長年のお友達経由にて地元業者に見積り

 ただでさえ、売却が難しいエリアの土地なのに売却するためにも相当なコストがかかってしまうことが判明。
 これでは地元不動産会社の方もご対応ができないのもわかる気がします・・・。

6. 販売活動と少ないお問い合わせ

 現地での調査などを終えて、横浜の会社に戻りました。
 調査結果等をまとめ、後日、売主様にその内容をご報告しました。
 その際には売主様も現地の不動産市況の厳しさをうすうすお気付きになっていたため、「手放せるかどうかすら、心配になってきました」と仰られていました。
 ただ、ご依頼いただいたからには何とかしなければなりません。
 ほとんど不動産が動いていないため、相場がありませんでした。
そのため、最初は厳しいとは知りながらも、売主様のために少しでも好条件で売却するために固定資産税評価額より販売を開始しました。
※宅地部分は固定資産税評価額、農地部分は宅地部分の固定資産税評価額の面積按分した価格で販売をしました
 並行して、墓地部分が売主様のお名前に相続登記がされていなかったため、そちらの相続登記を司法書士の先生に先行して行っていただきました。
 ただ、予想通り、販売活動を行ってはいるもののほとんどお客様、他社さんからのお問い合わせはありませんでした・・・。

7. 長期化する販売活動とやっと出会えた購入希望者

 当初より簡単には売れないということは理解していましたが、あまりにもお問い合わせが少なく、何回か心が折れそうになりました。
 それでも根気よく販売活動を続けていきました。
 お問い合わせ状況の推移など細かく、検証し、売主様と協議をして徐々に販売価格を下げていきました。
 そして、1年2ヶ月経過したときにやっとのことで購入希望者をお探しすることができました。
 購入希望者は、今回の土地でソーラーパネル事業を行う予定でした。購入希望者の購入に際しての条件は、境界標の明示と農地法の許可取得、現存しない建物の滅失登記、電力の接続許可の取得でした。

8. 売買契約の締結と各種作業の実施

 売買に向けての諸条件の協議も終わり、売買契約を締結していただきました。
 売買契約締結後、すぐに各種作業に取り掛かりました。
 まずは、土地家屋調査士の先生に現存しない建物の滅失登記をしていただき、それに加え、土地2か所の確定測量及び隣地所有者の立会い作業をしていただきました。
 ただ、ここで問題が発覚。
 それは、隣の土地の所有者がいない、つまり隣の土地が「所有者不明土地」だったのです。
 これについては、土地家屋調査士の先生が法務局、近隣住民の方とも協議をしていただき、将来的にも揉めることのないように調整していただけました。
 さらに測量の際には隣地との越境も発覚。
 越境については、将来、建物の再建築の際には是正する旨の合意書を取り交わしました。
 ただ、測量が終わりに差し掛かった頃、隣地の土地所有者の方より「うちも農地を手放したい。一緒に処分できないか?」というご相談をいただきました。
 そのため、買主様とも協議をし、ご了解をいただき、隣地の農地も含めて買主様に購入いただくことで段取りをしました。
 墓地の廃止許可もこの時点で手続きを行いました。
 続いて買主様主体で電力の接続許可の取得申請を実施。
 同時並行して行政書士の先生に農地法の5条許可申請を行っていただきました。
 今回の土地は、未線引き区域という地域だったため、売買には農業委員会の許可が必要です。
 かつ、買主様は農地から違う用途への転用条件のため、今回は農地法の5条許可申請となったのです。

9. なかなかでない電力の接続許可と引渡し準備

 測量関係、隣地の農地も同時に進めるところまでは順調に進んでいましたが、ソーラーパネルの需要が急増し、許可申請が監督官庁に集中してしまったため、なかなか電力の接続許可がおりてきませんでした。
 農地法の許可もこの電力の接続許可証を添付し、提出する必要があるため、それに伴って遅れていました。
 最終的に時間はかかったものの、ご契約から8ヶ月後に無事に電力の接続許可がおり、翌月に農地法の5条許可を取得することができました。
 そして、続いては、売主様、買主様、司法書士の先生と私とでいよいよお引渡しに向けての準備を開始したのです。

10. 売主様が不在での土地のお引渡し

 引渡しの条件が整い、最終的な残代金の準備にかかりました。
 売却物件が新潟県で売主様は東京都町田市在住、買主様は静岡県にある法人でした。
 売主様はご高齢で体調を崩されていることもあり、残代金・お引渡し自体はご欠席されました。
 そのため、司法書士の先生に予め売主様のご本人様確認をしていただき、買主様へのお引渡し書類を私がお預かりしました。
 最終的な残代金については、買主様の会社にて行いました。
 私が売主様よりお預かりした書類を買主様にお引渡しをし、買主様より売主様指定口座に残代金をお振込みいただき、全ての手続きが完了しました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「処分することの大変さ」でした。

 今回の物件も大手不動産会社でも、地元不動産会社でも対応できない不動産の売却できした。
 いろいろと難しいことはありましたが、やはり「農地」ということが最大のポイントでした。

 売主様は、当初よりタダでもいいから手放したいとお考えでしたが、実際に手放すためには測量や農地法の許可申請などで多額の費用がかかってしまいました。

 今回の売主様については、幸いにもその点について、売却金額で賄うことができたので良かったのですが、今後、不動産の需要が減り、余ってしまう状況については、今回のようにうまく逃げ切れるか(売却できるか)わかりません。
 それにしても、結構大変な物件でしたが、無事に売却が完了し、私自身、心からひと安心できました。

 現地でいろいろと段取り良く進めていただいた土地家屋調査士の先生、行政書士の先生には感謝しかありません。
 S先生、Y先生、そして、関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
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