ブログ

ご高齢の売主様のご自宅売却の依頼を断った理由

 みなさん、おはようございます。
再建築不可物件コンサルタントの田中です。

 今回は、ご高齢の売主様のご自宅売却の依頼を断った理由について。

 先日、お住み替えを希望しているお客様をご紹介いただきました。
 そのお客様は、グループホームに入所しているご高齢のお母様が所有の自宅を売却し、その売却代金をもってマンションに住み替えしたい、というものでした。

 そのため、まずは売却物件の所有者であるお母様に売却意思を確認するため、司法書士の先生とともにお母様のグループホームを訪ねました。
 そして、お母様に売却意思を確認しました。
…が、残念ながらお母様は認知症を患っており、明確な売却意思は確認出来ませんでした…。

 司法書士の先生からは、「この状態で売却意思があるとは、言えない。それでも売却をしたいというのであれば、家庭裁判所に成年後見人の申立てをするほかありません」と。
 同席していた私も司法書士の先生の考えと同じでした。

 これからお客様は、今後のことを考えていかなければなりません。
 仮に成年後見人の申立てをしても裁判所の許可を得て自宅を売却できたとしても、その売却代金でマンションを購入するのは難しい…。
 
 このように不動産の売買には、所有者の意思が必須となります。
 今回のお客様の場合、お母様の認知症が進行する前にもし、家族信託をしていたら、任意後見契約をしていたら、結末は違いました。

 将来のことは、誰にもわかりません。
いつ万が一のことが起きるのか、認知症になるのかなんて。
だからこそ、元気なうちにすることがあります、残される方々に迷惑をかけないようにするために。

みなさんは準備していますか、万が一の時のことを。