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運営会社が倒産したリゾートマンションの共有持分は売却できる?“紙切れより厄介”な不動産処分の現実
みなさん、こんにちは。
再建築不可物件コンサルタントの田中です。
今回は、リゾートマンションの共有持分について。
「使うことのできないリゾートマンションの共有持分を持っています。何とか処分できないでしょうか?」
先日、当社にこんなご相談がありました。
場所は栃木県那須町。
那須といえば全国的にも有名な別荘地です。
「那須のリゾートマンションなら売れるんじゃないの?」
そう思われる方もいるかもしれません。
ところが今回のご相談は、普通のリゾートマンション売却とは少し事情が違います。
相談者の方がお持ちなのは、一室を単独で所有する一般的な区分所有マンションではなく、リゾートマンションの共有持分。
しかも、運営会社が倒産しており、現在は施設を自由に利用することもできないとのことでした。
私は資料を見ながら思いました。
「これは、売る前に調べなければならないことがかなりあるな…」
売れない不動産ほど、急いで売ろうとしてはいけません。
今回もまさに、
「急がば回れ」
という案件なのです。
■昔、リゾートマンションや会員権は「ステータス」だった
バブル期を中心に、リゾートマンションやリゾート会員権を所有することが一種のステータスだった時代がありました。
箱根、熱海、軽井沢、伊豆、那須…。
週末になれば家族で出かけ、自分たちの別荘のように利用する。
そんな暮らしに憧れて購入された方も少なくありません。
ただし、ここで注意しなければならないのが、
「リゾートマンション」
「リゾート会員権」
「不動産の共有持分」
は、似ているようで権利関係がそれぞれ違うということ。
今回のように不動産そのものについて共有持分を所有している場合、単純に「会員権を解約すれば終わり」という話ではありません。
登記された所有権であれば、利用できなくなったからといって権利が自動的に消えてくれるわけでもありません。
ここが非常に重要です。
■運営会社が倒産したら「ただの紙切れ」?
リゾート会員権について、
「運営会社が倒産したら紙切れになる」
という表現を聞くことがあります。
確かに、会員として施設を利用する権利だけを考えれば、そのようなケースもあるでしょう。
ところが、不動産の共有持分として登記されている場合は話が違います。
私は今回の案件を調べながら、
「場合によっては紙切れより大変かもしれない」
と思いました。
紙なら捨てれば終わります。
しかし、不動産の所有権は、
「いらないから捨てます」
とはできません。

売却する。
誰かに譲渡する。
他の共有者に取得してもらう。
共有関係を整理する。
場合によっては法的な手続きを検討する。
何らかの形で所有権を動かさなければ、基本的には自分の名義として残り続けます。
だからこそ、「価値がない=簡単に処分できる」ではないのです。
むしろ不動産の世界では、
価値が低い不動産ほど処分が難しい
という逆転現象が起こることがあります。
■今回、まず登記を調べてみたところ…
相談を受けた以上、まずは権利関係を確認しなければなりません。
そこでインターネットで対象となる土地・建物の登記情報を取得しようとしました。
ところが…。
メインとなる土地・建物については、ちょうど登記手続き中となっており、その時点では登記情報を取得できませんでした。
一方、同じ敷地内にある別の建物については登記情報を取得できました。
そして、そこでも疑問が生じました。
「なぜ、この建物だけ第三者の単独名義なんだろう?」
売れない不動産の調査をしていると、こういうことがよくあります。
ひとつ調べる。
すると、ひとつ疑問が増える。
その疑問を調べると、さらに別の疑問が出てくる。
まるで不動産版の「玉ねぎ」です。
剥いても剥いても、まだ出てくる。(苦笑)
でも、この作業を飛ばしてはいけません。
■リゾートマンションの共有持分を売却する前に調べること
このような共有持分を売却・処分するときは、いきなり買主を探すのではなく、少なくとも次のような事項を整理する必要があります。
・自分が所有している権利は何なのか
・土地、建物の共有持分割合
・共有者は誰なのか
・運営会社は現在どうなっているのか
・管理主体は存在するのか
・施設を現在利用できるのか
・固定資産税や管理費等の負担はあるのか
・未払い金や滞納金はないのか
・売却や譲渡について制限がないか
・共有持分を取得した人にどんな権利・義務が生じるのか
・将来的にどんな負担が発生する可能性があるのか
特に重要なのは、
「買った人に何が残るのか」
です。
売主側からすれば、
「もう使わないから手放したい」
という気持ちになります。
それは当然です。
しかし、買主から見れば、
「これを取得して、私は何ができるの?」
となります。
ここに答えられなければ、いくら1円物件として販売しても、買主を見つけることは難しいでしょう。
■共有持分を持つメリットは何なのか?
ここは物件ごとに調査が必要ですが、一般論として共有持分には、
・不動産そのものについて所有権を持てる
・共有物を利用できる可能性がある
・将来、共有関係が整理された場合に経済的価値が生じる可能性がある
・他の共有者との協議によって活用方法が見つかる可能性がある
などが考えられます。
ただし、これらは共有持分を持っていれば必ず得られるメリットではありません。
利用方法や管理規約、共有者間の取り決め、現在の施設状況などによって大きく変わります。
今回のように運営会社が倒産している場合は、なおさらです。
■一方、デメリットはかなり慎重に確認する必要がある
買主にとって考えられるデメリットとしては、
・単独所有ではないため自由に利用・処分できない
・共有者との調整が必要になる
・管理費等の負担が発生する可能性がある
・建物の維持修繕問題を抱える可能性がある
・施設そのものが利用できない可能性がある
・再売却が難しい
・相続すると次世代へ問題が引き継がれる可能性がある
などがあります。
だからこそ、
「1円なら誰か買ってくれるでしょう」
ではダメなのです。
1円不動産、0円物件でも、買主は取得後の負担を考えます。
むしろ価格が極端に安い不動産ほど、
「なぜそんなに安いの?」
と慎重になります。
当然ですよね。
私だって買う立場ならそう考えます。
■「売りたい」だけでは売れない。「買う理由」をつくらなければならない
全国の売れない不動産を扱っていると、いつも感じることがあります。
売主様には「手放したい理由」があります。
しかし、それだけでは不動産は売れません。
必要なのは、
買主側の「取得する理由」です。
山林でも、農地でも、再建築不可物件でも、私道でも、調整区域でも同じです。
「こんな土地、誰が買うんだろう?」
と思う物件でも、
ある人にとっては家庭菜園をする場所かもしれない。
隣地所有者にとっては土地を広げるチャンスかもしれない。
地域の人にとっては駐車場や資材置場になるかもしれない。
不動産の価値は価格だけではありません。
誰が、何のために使うのか。
そこまで考えることが、売れない不動産を売却する第一歩だと思っています。
リゾートマンションの共有持分も同じです。
だから今回も、まずは権利関係を徹底的に調査するところから始めます。
■これから同じ相談が増えるのではないか
今回の相談を受けて、私はもうひとつ考えました。
こうした問題は、これから全国で増えるのではないか、と。
かつて人気だったリゾート施設も築年数を重ねます。
所有者も高齢になります。
相続も発生します。
施設の利用者が減れば、運営会社の経営にも影響します。
そして運営会社が倒産・撤退すれば、
「使えないリゾートマンションの共有持分だけが残った」
という所有者が出てくる可能性があります。
さらに本人が解決しないまま相続が発生すれば、
「父が持っていたらしいけど、一度も行ったことがない」
という子ども世代へ問題が引き継がれてしまいます。
これは単なる不動産売却の問題ではありません。
人口減少、高齢化、空き家、相続、老朽化するリゾート施設。
いくつもの社会問題が重なった、これからの日本の不動産問題のひとつになる可能性があります。
■処分を急ぐからこそ「急がば回れ」
「早く処分したい」
そのお気持ちはよくわかります。
毎年税金や費用がかかるのであれば、なおさらでしょう。
ただ、難しい不動産ほど、最初にきちんと調べることが重要です。
権利関係を調べる。
共有者を調べる。
運営会社の状況を調べる。
管理状況を調べる。
取得する人のメリットとデメリットを整理する。
そのうえで、
「誰ならこの共有持分を必要としてくれるのか」
を考える。
遠回りに見えて、実はこれが一番の近道です。
まさに、
急がば回れ。
再建築不可、山林、農地、私道、調整区域、空き家、共有持分…。
「いらない不動産だから、とにかく誰かに渡したい」
では解決できない案件を、私は全国でたくさん見てきました。
それでも、一つひとつ問題を整理していくと、最初は見えなかった出口が見つかることがあります。
今回の那須のリゾートマンション共有持分についても、まだ調査の途中です。
だから現段階で「売れます」とも「売れません」とも言いません。
まずは調べる。
そして事実を整理する。
その先で、この共有持分を必要としてくれる人がいるのかを考える。
相場がないなら、相場をつくる。
出口が見えないなら、まず出口を探せる状態まで整理する。
売れない不動産の解決は、いつもそこから始まります。
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