• トップ
  • ブログトップ
  • 不動産市場は「調整局面」へ? 投資意欲は高い、それでも買主が慎重になっている理由

ブログ

不動産市場は「調整局面」へ? 投資意欲は高い、それでも買主が慎重になっている理由

 みなさん、おはようございます。
再建築不可物件コンサルタントの田中です。

 今回は、直近の不動産市場について。

不動産価格はまだ上がり続ける――。

ここ数年、そんな雰囲気が不動産市場にはありました。

ところが最近のマーケットデータを見ると、少しずつ「潮目が変わってきた」と感じさせる数字が出始めています。

特にこれから不動産を売却しようと考えている方、そして再建築不可物件や空き家、借地権、傾斜地など「一般的には売りづらい不動産」を所有している方には、ぜひ知っておいていただきたい変化です。
 

■ 首都圏でも市場に変化の兆し

直近のマーケットデータでは、中古マンションについて首都圏の成約単価が73か月ぶりに前年同月比でマイナスとなりました。

さらに、

・新規登録価格、在庫価格と実際の成約価格との差が拡大
・売主物件、媒介物件ともに在庫が増加
・特に高額物件の在庫が増加
・土地の成約件数も首都圏で22か月ぶりに前年割れ

など、市場の変化を感じさせる数字が出ています。

もちろん、すべての不動産市場が悪いわけではありません。

戸建市場は比較的堅調で、中古戸建・新築戸建ともに首都圏では成約件数、価格が前年比で増加し、在庫も減少しています。

つまり今は、

「不動産なら何でも売れる市場」ではなく、物件によって売れ行きの差が大きくなる市場

へ移行しつつあるように思います。
 

■ 「不動産を買いたい」という意欲自体は強い

興味深いのが、不動産投資家の動きです。

不動産投資に関する意識調査では、投資意欲そのものは高い一方で、市場に対する警戒感も見られるという結果が出ています。

私はこの状況を日々の仕事の中でも感じています。

「良い不動産があれば買いたい」

「現金を持っているだけではなく、不動産に投資したい」

「収益物件を増やしたい」

そう考えている方は決して少なくありません。

ただし、その一方で、

「今の価格で本当に買って大丈夫なのか?」

という目線は以前より確実に厳しくなっています。

つまり、

買いたい。でも高値掴みはしたくない。

これが現在の消費者・投資家心理なのではないでしょうか。
 

■ 「売出価格」と「売れる価格」は違う

ここは不動産を売却される方にとって、とても重要なポイントです。

インターネットを見ると、

「近所の土地が3,000万円で売りに出ている」

「同じくらいの広さの中古住宅が4,000万円で掲載されている」

といった情報はいくらでも出てきます。

しかし、それはあくまで「売主が希望している価格」です。

実際にその金額で売れたとは限りません。

市場の在庫が増え、新規登録価格や在庫価格と実際の成約価格との差が広がっているのであれば、これまで以上に、

「いくらで売りたいか」ではなく、「いくらなら買主が買うのか」

という視点が重要になります。
 

■ 再建築不可物件は、さらに影響を受けやすい

そして私たちが日々取り扱っている再建築不可物件や難あり不動産の場合、この傾向はより強くなります。

例えば、

再建築不可、接道不足、借地・底地、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地、擁壁、境界不明、農地、市街化調整区域、老朽化した空き家――。

こうした不動産は、一般的な住宅よりも購入できる人が限定されます。

さらに金融機関から融資を受けづらい物件であれば、現金購入できる人などに買主が絞られてしまいます。

市場全体が強いときには、こうした物件にも資金が流れ込みやすくなります。

ところが市場に警戒感が出てくると、買主はまず、

「出口はあるのか?」

「将来売れるのか?」

「この価格ならリスクに見合うのか?」

と考えるようになります。

特に不動産投資家は、単純に「安いから買う」のではありません。

リスクを取るのであれば、その分だけ価格にも合理性を求めます。

ここが非常に重要です。
 

■ 「待てばもっと高く売れる」とは限らない

売主様から、

「もう少し待てば高く売れるのでは?」

と言われることがあります。

もちろん、その可能性はあります。

ただし、不動産価格が将来必ず上昇する保証はありません。

特に現在のように市場の一部で在庫が増え、成約件数や成約単価に変化が見え始めている状況では、「待つこと」そのものがリスクになる場合もあります。

難あり不動産の場合はなおさらです。

建物は時間とともに老朽化します。

草木は伸びます。

擁壁や斜面は管理が必要です。

固定資産税や管理費も発生します。

相続が発生すれば権利関係がさらに複雑になることもあります。

だからこそ、

「最高値で売ること」だけではなく、「売れるタイミングで確実に売ること」も大切です。
 

■ これからは「価格の二極化」が進むかもしれない

個人的には、これからの不動産市場はすべての価格が一律に下がるというより、

「欲しい不動産」と「欲しくない不動産」の価格差が大きくなる

のではないかと考えています。

駅近、築浅、状態が良い、住宅ローンが使いやすい――。

こうした物件には引き続き需要が集まるでしょう。

一方で、

再建築不可、老朽化、傾斜地、接道問題、権利関係の複雑な物件などについては、よりシビアに価格を見られる可能性があります。

だからこそ、難あり不動産では一般的な不動産以上に、

「今の市場で誰が、何の目的で、いくらなら買うのか」

を考えなければなりません。
 

■ 売れない不動産はない。ただし「売り方」と「価格」は重要

私たちはこれまで、一般的には「売れない」と言われる不動産を数多く取り扱ってきました。

再建築不可でも、傾斜地でも、借地でも、農地でも、老朽化した空き家でも、買う人がまったくいないとは限りません。

大切なのは、その不動産を必要としている人を探すこと。

そしてもう一つ大切なのが、

市場を無視した価格設定をしないことです。

投資意欲が高いからといって、どんな不動産でも高く売れるわけではありません。

むしろ投資家の購入意欲がありながら警戒感も強くなっている今だからこそ、

「買いたい人はいる。でも、その価格では買わない」

という状況が増えてくる可能性があります。

不動産市場に少しずつ調整の兆しが見え始めた今。

再建築不可物件や難あり不動産の売却では、これまで以上に「相場を見る力」「買主を想定する力」「売るタイミングを判断する力」が重要になってきています。

「売れない不動産はない」。

ただし、売れる価格と売れる方法を間違えないこと。

これが、これからの不動産市場ではますます重要になってくると思います。