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相続放棄された隣の空き家…所有者不明の土地はどうなる?境界・私道・借地トラブルの解決方法を専門家が解説
再建築不可物件コンサルタントの田中です。
今回は、相続放棄された不動産について。
相続放棄された不動産は誰のもの?
境界確認・私道承諾・借地トラブルで困った時の解決方法
最近、全国から増えている相談があります。
それは、
「隣の空き家の所有者が亡くなり、相続人全員が相続放棄してしまった」
というケースです。
一見すると、
「相続人がいないなら、その土地は誰のものでもないのでは?」
と思われる方もいます。
しかし、不動産はそう簡単ではありません。
所有者がいないように見える土地でも、境界確認・道路利用・建替え・売却など、周辺の方に大きな影響を与えることがあります。
なぜ不動産は相続放棄されるのか?
昔は、
「土地を相続できる=財産をもらえる」
というイメージでした。
しかし、現在は違います。
人口減少や地方の過疎化により、土地を持つこと自体が負担になるケースも増えています。
例えば、
・老朽化した空き家で解体費用が数百万円かかる
・山林で場所すらわからない
・農地で自由に売却できない
・市街化調整区域で建物が建てられない
・再建築不可物件で買主が見つからない
・固定資産税や管理責任だけ残る
このような理由から、
「親から相続したけど、自分では管理できない」
と判断し、相続放棄を選択される方がいます。
相続放棄のメリットとは?
相続放棄の一番大きなメリットは、
不要な財産や借金を引き継がなくて済むこと
です。
例えば親が、
・借金を残していた
・価値より解体費の方が高い空き家を所有していた
・管理できない遠方の土地を持っていた
という場合、その負担を避けられる可能性があります。
ただし相続放棄にはデメリットもあります
注意しなければならないのは、
「いらない土地だけ放棄する」
ということはできない点です。
相続放棄をすると、
土地はいらないけど預貯金は欲しい
という選択はできません。
原則としてプラスの財産もマイナスの財産も含めて放棄することになります。
また、相続人全員が放棄すると、
「話し合う相手がいない不動産」
になることがあります。
これが実務上、とても大きな問題になります。
ケース① 隣地が相続放棄された空き家で境界立会いができない
不動産を売却するとき、多くの場合、土地家屋調査士による確定測量を行います。
その際に必要になるのが、
「隣地所有者との境界確認」
です。
ところが隣の所有者が死亡し、相続人全員が相続放棄していたらどうでしょう?
誰に境界確認をお願いすればいいのか?
これが問題になります。
境界が確定できないと、
・買主が不安になる
・金融機関の融資に影響する
・売却価格が下がる
ということもあります。
この場合、状況によっては家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てを検討し、その清算人と手続きを進めることになります。
ケース② 私道所有者が相続放棄…承諾書が取得できない土地
再建築不可物件で特に多いのが私道問題です。
例えば、
自宅の前面道路が私道だった。
建替えするためには、
・通行承諾
・掘削承諾(水道管・ガス管工事)
・道路使用承諾
などが必要。
しかし、その私道所有者が亡くなり、相続人全員が相続放棄していた…。
こうなると承諾をもらう相手が存在しません。
結果として、
「建築会社から工事できないと言われた」
「買主が住宅ローンを利用できない」
ということにつながる場合があります。
再建築不可物件では、建物だけではなく“道路の権利関係”まで確認することが非常に重要です。
ケース③ 地主さんからの相談「借地人が亡くなり、建物だけ残った」
当社にも地主様から、このような相談があります。
「借地人さんが亡くなった」
「相続人もいない」
「地代も入らない」
「でも建物だけ残っている」
というケースです。
地主さんからすると、
土地は自分のもの。
でも、その上にある建物は他人のもの。
勝手に壊すことはできません。
これが借地権付建物の難しいところです。
このような場合も、相続財産清算人を選任し、
・未払い地代の整理
・借地契約の整理
・建物や借地権の処理
について協議していくことになります。
「所有者がいないから終わり」ではありません
全国で空き家が増えています。
そして今後、
「誰も欲しがらない不動産」
「相続されない不動産」
はさらに増えていくと思います。
ただ、私が全国の売れない不動産を見て感じることがあります。
それは、
問題がある不動産=価値がない不動産ではない
ということ。
境界問題。
私道問題。
借地問題。
再建築不可。
市街化調整区域。
一つひとつ絡まった糸をほどいていけば、解決策が見えてくることがあります。
実際、当社でも他社で断られた空き家や土地を調査し、新しい所有者へつないできた事例があります。
これからの時代、不動産は「所有する時代」から「次にどう引き継ぐかを考える時代」になっていくのかもしれません。
相続放棄された不動産、所有者不明の土地、再建築不可物件、私道、借地、山林、農地などでお困りの場合でも、まずは問題点を整理することが大切です。

【当社の実例】
横浜市神奈川区斎藤分町で起きた相続放棄された不動産との境界問題
実際に当社でも、相続放棄された不動産に関する案件を対応したことがあります。
場所は横浜市神奈川区斎藤分町。
売却を進めるため土地の確定測量を行っていたところ、問題が発生しました。
隣接する土地所有者がお亡くなりになっており、さらに相続人の方々が相続放棄をされていたのです。
通常、境界確定を行う場合、隣地所有者の方に現地で立会いいただき、
「ここが土地と土地の境目です」
という確認をしていただきます。
しかし、相続放棄により承諾してくれる所有者がいない状態。
つまり、
境界確認をお願いしたくても、お願いする相手が存在しない
という状況でした。
このままでは確定測量が進まず、売却にも影響が出てしまいます。
そこで当社では関係者と協議し、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任申立てを行いました。
その後、裁判所によって弁護士の先生が相続財産清算人として選任されました。
そして、その弁護士の先生に隣地所有者の立場として現地立会いをしていただき、境界確認手続きを進めることができました。
この経験から感じることがあります。
不動産は、単純に
「所有者が亡くなった」
「相続放棄された」
だけでは終わりません。
隣地所有者、私道利用者、地主さんなど、周囲の方々にも影響が出ることがあります。
特に再建築不可物件や古い住宅地では、昔からの権利関係が複雑になっていることも少なくありません。
だからこそ、登記簿を見るだけではなく、
「今、誰と話をすれば解決できるのか」
を調査することが大切です。
時間も手間もかかります。
費用が発生する場合もあります。
それでも、一つずつ問題を整理していけば、止まっていた不動産が再び動き出すことがあります。
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